腕時計のオーバーホールとは?定期的に実行すべきなのか検証
高級腕時計のメンテナンスとして欠かせないオーバーホールですが、そもそもどのような作業になるのか、放置していたらどのようになるのかよく分からないという人も少なくありません。民間でオーバーホールを行う修理店もありますが、高級ブランドではほとんどが正規の技術者が対応しています。こちらでは、メーカーごとにオーバーホールの概要を見ていきます。
オーバーホールの必要性や意味
オーバーホールというのは本来、徹底的に点検するという意味を持つ言葉です。その名の通り、時計の不具合を見つけて修理や調整をするのではなく、徹底的に分解してパーツ一つひとつをチェックして調整し、不具合を起きにくくします。元々、腕時計はゴムパッキンのような劣化しやすいパーツもありますし、潤滑油が劣化して歯車が壊れやすくなることもあります。特に機械式時計は細かいパーツを組み合わせた繊細な仕組みになっていますので、オーバーホールを怠るとパーツの破損による故障が発生しやすいです。替えの効くパーツならともかく、アンティーク品になると交換可能なパーツが入手しづらくなるため、こまめなメンテナンスが必要になります。
年代物も多いロレックスのオーバーホール
ロレックスは殆どのモデルが機械式自動巻きムーブメントのため、原則3~5年に一度のペースでオーバーホールが必要です。ただ、現存モデルは正規店で対応してもらえますが、アンティークロレックスになると民間企業に依頼しなければならないため、信頼できるところを探さなければなりません。日本ロレックスに依頼した場合、専門の技術者がロレックスの部品のみを使って修理をするため、安心感があります。また、返却時に「正規修理保証書」というロレックス正規品を修理した証明書がついてくるため、保証書を紛失した場合でも高額買取になりやすいです。 オーバーホールの依頼は宅配のみで済ませることができ、料金はモデルや交換するパーツによりますが、大体5~10万円の範囲内です。一般的には、貴金属を使用したモデルなどの高級ラインはオーバーホールの費用も高額になりますし、交換するパーツごとに追加料金が発生します。
モデルによって周期が異なるオメガのオーバーホール
オメガの機械式時計は大きく分けて2種類のムーブメントがあり、通常のものを搭載したモデルは3~4年に1回、コーアクシャルムーブメントを搭載したモデルならば8~10年に1回のペースでオーバーホールが必要です。オメガは元々実績のある腕時計メーカーということもあり、最先端の設備を導入した工場で一流の技術者が正規修理サービス(コンプリートメンテナンスサービス)を行っています。 こちらでは、25項目に及ぶメンテナンスと新品の純正パーツへの交換を行うので非常に安心感がありますが、費用は7~10万円程度見ておかなければなりません。このサービスを受けるには、東京と大阪にある正規のオメガカスタマーサービスセンターに持ち込むか、郵送で届ける必要があります。
手ごろな価格から依頼できるカルティエのコンプリートサービス
カルティエはファッションアイテム全般のブランドというイメージが強いですが、腕時計に関しては自社ブランドの品物についてオーバーホールを行うコンプリートサービスが提供されています。目安としては5年に1回程度を推奨しており、熟練の技術者による時計の分解、パーツの洗浄、ムーブメントの修繕、精度や防水等の点検及び組み立てが行われます。パーツの交換は依頼者に確認してから別料金で行われ、基本的なコンプリートサービスの料金は3万3,880円からです。コンプリートサービスは、オンラインで申し込んで郵送するか、各ブティックへの持ち込みで依頼します。
修理だけでなくクリーニングも行うブルガリのコンプリートサービス
ブルガリのオーバーホールは、クリーニング等も含めたコンプリートサービスという名称になっています。通常のオーバーホールの他にゴムパッキンや秒針、クロノグラフのカウンター針などの交換も行い、さらにケースや金属ベルトのクリーニング、防水テストなども含んだ内容です。これに加えて、クオーツ式の時計は電池交換も行います。このサービスを受けた後、さらに1年は保証期間がつきますのでかなり充実した内容と言えるでしょう。推奨するメンテナンスの頻度は2年に1回です。
必要に応じて定期的なメンテナンスを
このように、人気の高い腕時計は純正パーツとの交換が可能な正規店でオーバーホールをしてもらえますし、料金を安く抑えたければ民間で依頼することも可能です。いずれにしても、機械式腕時計は精密な品物ですので、きちんとメンテナンスをしなければ取り返しがつかなくなる恐れがあります。時期を見て、定期的に分解してもらうようにしましょう。