歴史を変えるオメガ スピードマスターの価値
NASAの公式腕時計としても知られているオメガ スピードマスターは、これまでに腕時計の歴史に大きな影響を与えてきました。
近年になり評価が更に上昇している腕時計のひとつでもあります。今回は、オメガ スピードマスターの歴史や特徴と同時にいくつかの腕時計を紹介していきます。
【オメガ スピードマスターの特徴とは?】
1957年に開発されたオメガ スピードマスターは、これまでのレーサー向け腕時計の歴史を大きく変えました。歴史的にも名高いオメガ スピードマスターの特徴について見ていきます。
■オメガ スピードマスターは世界初のベゼル
オメガ スピードマスターのベゼル部分には、タキメーターが取り付けられています。タキメーターとは、特定の距離の時速を測る機能のことです。
更に世界ではじめてベゼル部分にタキメーターが取り付けられた腕時計になります。タキメーターが、ベゼル部分にあるとダイアル部分が時間表示と積算計だけになります。ダイアル部分がスッキリするので見やすくなる効果があります。
そして、外側に表示されるようになったので、ベゼルのデザインも大きく変化しています。
■オメガのクロノグラフ機能
オメガスピードマスターには、クロノグラフ機能も搭載しています。9時の位置にスモールセコンド、3時の位置に30積算計、6時の位置に12時間積算計が取り付けられています。
積算計やスモールセコンドがダイアルについている腕時計は、インデックスの一部が省略されるものも少なくありません。スピードマスターは、インデックスの省略はされていませんので、シンプルなインデックスとなっています。
インデックスがついていると、時計本来としての機能である時間認識が容易になるので大きなメリットになります。
■ブレスレットは金属製とは限らない
スピードマスターは、金属製のブレスレットを使用しています。ただ、金属製だけではありません。様々な素材のブレスレットに付け替えることが、可能になっています。金属以外のブレスレットを使用すると印象が変わるので、新たな楽しみ方もできます。
ブレスレットの種類は、主にレザー・ポリエステル・ナイロン(ポリアミド)の3種類になります。デニムとレザーを組み合わせたものやナイロン製ファブリックなどもあります。
オメガから発売されているブレスレットの中で特に注目したいのが、ナイロン(ポリアミド)製のブレスレットです。ナイロン製のブレスレットは、「NATOブレスレット」と呼ばれています。ナイロン(ポリアミド)製のブレスレットは、もともと冷戦時代に作られたNATO(北大西洋条約機構)軍が使用する腕時計として作られたのが、主な理由です。
NATOブレスレットの特徴は、軽さになります。金属製・レザー製に比べると軽量なので、長時間の使用も問題ありませんし、カラーリングも豊富になっています。
【オメガの時計は宇宙を飛ぶ】
オメガのスピードマスターには、個性豊かな種類があります。スピードマスターの中でも有名なもののひとつとしてあげられるのが、「ムーンウォッチ」です。
ムーンウォッチは、オメガのスピードマスターの歴史を語るうえではずすことのできない存在です。まずは、ムーンウォッチについて詳しく見ていきましょう。
■オメガの時計は宇宙空間でなくてはならない存在
1957年に発売されたオメガ スピードマスターの発売当初は、ベゼルにタキメーターがついていることもあり、空軍などで利用されていました。
オメガ スピードマスターが発売された頃にソ連とアメリカは、宇宙開発競争の真っ只中でした。アメリカでは、マーキュリー計画やアポロ計画などの有人宇宙飛行計画が実施されていました。
1962年のマーキュリー計画により、宇宙飛行士ウォルター・シラーが宇宙遊泳をはたしたとき、彼の腕にはオメガ スピードマスターがつけられていました。
このときのオメガ スピードマスターは、彼が個人的に装着していったと言われています。
その後、宇宙開発を進める中で、NASAは急激な温度変化や気圧変化といった過酷な宇宙環境でも耐えられるクロノグラフを探していました。
大手メーカーのクロノグラフが集められて様々なテストを実施しました。テストをクリアしたのは、オメガ スピードマスターのみという結果に終わりました。
1965年以降の宇宙飛行士が装着する腕時計は、オメガ スピードマスターが選ばれるようになっています。
1967年に世界で初めて人類が月に降り立ったとき、宇宙飛行士の腕にはオメガ スピードウォッチがつけられていました。
オメガ スピードウォッチの中でも、世界初の有人月面着陸のときに使用されたムーブメントが搭載されたタイプがあります。このタイプを特別に「ムーンウォッチ」と呼びます。
■スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチ 311.30.42.30.01.005
「311.30.42.30.01.005」の仕様
・直径:42mm
・ムーブメント:手巻き式(1861)
・パワーリザーブ:48時間
・防水:50m
「311.30.42.30.01.005」は、ブラックのダイアルとベゼルが印象的な腕時計で、ムーブメントは、手巻き式になります。定期的にリューズを回す必要があるタイプです。ケースは丈夫なステンレススチール製です。ケースの裏側はフタがされており、紋章などが刻印されています。
ブレスレットもステンレススチール製で、形状はコマ(金属板)が横に3つ並んだ3連リンクです。こちらの時計は、最初から「NATOストラップ」「ベルクロストラップ」と交換用の金具がついています。ナイロン製の「NATOストラップ」とマジックベルトタイプの「ベルクロストラップ」はどちらもブラック1色となっています。
■スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチ 311.30.42.30.01.006
「311.30.42.30.01.006」の仕様
・直径:42mm
・ムーブメント:手巻き式(1863)
・パワーリザーブ:約48時間
・防水:50m
「311.30.42.30.01.006」のダイアルとベゼルは、ブラックです。黒いダイアルとベゼルに白い針や文字が映えます。ケースとブレスレットは、ステンレススチール製です。ケースの裏側は、シースルー構造になっています。そして、ムーブメントは、手巻き式です。手巻き式の場合、リューズを回してゼンマイを巻く必要があります。
また、裏側からムーブメントが見える構造となっていますので、ゼンマイの動きを楽しめます。
最初からついているブレスレットは、ステンレススチール製ですが、ナイロン製の「NATOストラップ」とマジックベルトタイプの「ベルクロストラップ」もついてきます。気分に合わせてストラップをかえることもできます。
【壊れにくい耐久性のあるスピードマスターはあるの?】
オメガの腕時計の中には、コーアクシャル機構を搭載しているものもあります。コーアクシャル機構を搭載していると摩耗が少ないので壊れにくくなります。
通常のムーブメントに比べるとかなり長持ちするので、耐久性に優れています。ここからは、コーアクシャル機構を備えたスピードマスターについて見てみましょう。
■オメガのコーアクシャルはとにかく長持ちする
ゼンマイで動くタイプの腕時計は、定期的に分解して掃除や部品交換をする必要があります。時計を使い続けると油が切れてしまい部品が摩耗してしまうからです。
そして、アンクルという部品が「カンキ車」(歯車)にひっかかることで時計を動かします。アンクルが「カンキ車」にひっかかる部分は2ヶ所が多くなっています。
オメガのコーアクシャルの場合は、ひっかかる部分が3ヶ所あります。通常よりひっかかる部分が多いので、1ヶ所のパーツにかかる負担を軽減できます。
■スピードマスター コーアクシャル38 324.30.38.50.01.001
スピードマスター コーアクシャル38 324.30.38.50.01.001の仕様
・直径:38mm
・ムーブメント:自動巻き式(3330)
・パワーリザーブ:約52時間
・防水:100m
こちらのダイアルは、ステンレススチール製になっています。ベゼルは、アルミニウム製です。タキメーターの数字部分は、ブラックで目盛り部分はシルバーとなっています。ブラックのダイアルには、スモールセコンド・30分積算計・12時間積算計の他に日付表示機能も搭載しています。
日付表示機能は、6時の位置につけられています。表示の大きさは、12時間積算計と同じ大きさです。
数字の大きさが同じなので、多くの機能が搭載されていますが、スッキリとしたデザインになっています。
ケースの裏側にオメガの象徴とも言われるシーホースが刻印されています。ムーブメントは、腕につけている間に自動的にゼンマイが巻かれる自動巻き式を採用しました。
オメガ特有のコーアクシャル機構が使われているので、通常のタイプより分解掃除の頻度が少なくなります。時計の維持にかかる費用や時間の軽減が予想されます。ブレスレットは、ステンレススチール製で、コマが3つ並んでいる3連リンク式です。
【まとめ】
現在、タキメーターがベゼルに取り付けられている腕時計は、数多くあります。その始まりこそ、「オメガ スピードマスター」になります。
オメガ スピードマスターには、同じシリーズでもムーブメントの種類によって大きな違いがあります。豊富な種類の中から自分の好みに合う1本を見つけましょう。